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デザイン戦略室の立ち上げから、これからGrooves(グルーヴス)が目指したいデザイン組織とは

こんにちは!デザイン戦略室の濱谷です。

デザイン戦略室は、グルーヴスの中でも組織として独立した立ち位置にあります。その要である、増渕ゼネラル・マネージャーに、入社の経緯から、デザイン組織の立ち上げ、これからの課題など話を聞きました。

グルーヴスは社会課題に本気で取り組む会社だと思い入社

ーー増渕さんは、入社は何年でしたか?

増渕:2020年の5月です。グルーヴスは転職エージェントに紹介してもらって、入社しました。私から、転職エージェントには、社会課題を解決するような事業をやっている会社を探してほしいと伝えていました。そこで最初に紹介してくれたのがグルーヴスでした。

ーーグルーヴスのどんなところが、社会課題を解決する会社だと思ったのでしょうか?

増渕:人口が減少し、地域が衰退していく中、地域の企業と優秀な人材をマッチングするために、地域の金融機関との連携によって解決を図ろうとしている点にリアリティを感じ、私もデザイナーとして関わりたいと思いました。

ーー入社した頃は、何名ぐらいのチームだったんですか?

増渕:当時、会社でのデザイナーの立ち位置は、プロダクト企画チームの中にデザイナーが4人所属している状態でした。

ーー現在のデザイン経営の流れとなったきっかけを教えてください。

増渕:入社して2週間経った頃、代表の池見よりデザイナー陣が集められて「今後、デザイン経営に取り組みたいので、どのように取り入れられるか検討して行こう」と言われました。そこから2週間で「デザイン経営とデザインチームの存在について」の資料を作り、池見にプレゼンしました。

ーーその際、増渕さんが会社に求めてきたこととして、「メンバーレベルの会議や、マネージャークラスのミーティングにすべて出席したい」と申し出たと伺ったのですが、どうしてそうなったのでしょうか?

増渕:会社を理解していないと、全体のデザインはできないと思っています。全社にデザインの価値を提供するためには、中心に置く必要を考えていましたので、様々なミーティングに同席させてもらえるよう許可を頂きました。

様々な会議に出席して発見したグルーヴスの課題

ーー様々な会議に出席して、当時のグルーヴスはどのように見えましたか?

増渕:そうですね・・(熟考)。当時の状況は、議論が起こりにくいというか、議論を深めていく点が、やや弱い感じを受けました。私も含めてですが、様々なバックグラウンドの人が集まってきた中で、お互いの役割の理解がまだまだ浸透していない部分もあって、心理的安全性が低い状態だったかもしれません。また、コロナの影響でフルリモートワークでもあり、直接会ったことのない人と白熱した議論が展開できるまでには、時間が必要だったと思います。その一方で、プロダクト・マネジメントになると、PM(プロジェクト・マネージャー)の力が発揮されて、ミーティングの中で何を話して、何を決めて、どのような価値観で、すり合わせていくかきちんと整理され、ミーティング設計ができる組織だなと感じました。ここでミーティングの進め方や意思決定について多くを学びました。

ーー一般的にベンチャーは、議論が白熱するイメージがありますが、グルーヴスは違う印象だったんですね。

増渕:リモート会議の側面もあったかもしれないです。リモート会議で10人前後が集まると、何を議論しても、抽象度が高くなるほど、どうしても話しにくくなります。そこでデザイナーのスキルを活かして、議論が煮詰まりそうになると、その場で図解して参加者の認識を揃えるなどしていました。

ーーコロナ禍前から、グルーヴスではリモート会議を積極的に導入していました。

増渕:そうです。だから発言がなかったわけではありません。限られた人だけの発言が多くなると、説明が上手な人達の発言が多かったと思います。会話はあるけど、プロダクト側、開発やデザインが活発に意見を伝えているかという点では、少し弱い印象を感じてました。

ーーそこから2年ちょっと経ちましたけれど、その過程を経て、今の状態はいかがでしょうか?

増渕:今は、テキストチャットやドキュメントの書式の統一などを行い、非同期的なコミュニケーションも多く取り入れ、多様な意見をちゃんと言い合える組織に変わっていったと思います。以前は、集まって話したい人が、「実はこう相談したくて」と、言った会話から始まるミーティングがとても多かったです。話しかけるように、ミーティングがセットされてたため、一時ミーティングが増えることがありました。現在は、事前にアジェンダがあり、資料も事前に配布されているため、短い時間でも効果を出すように設計されたミーティングがほとんどです。また、ミーティングを設定するほどでもない5~10程度の会話で、互い理解が深まるような時は、Slackのハドル機能を使ってコミュニケーションを推奨しています。

なぜビジョンが重要なのか?

ーー増渕さんと話していると、ビジョンを問いかけるケースが多いと思うのですが、いつ頃から、そのように考えるようになったのでしょうか?

増渕:(少し沈黙)自分は20代のころから、「この場合、大事なことってなんなのか?」がすごく気になる性格でした。何をするにしても「大事なことは何なのか」といつも自分に問いかけてをやっています。
ビジョンは、会社のブランディングと直結しています。例えば、会社のロゴマークを作る時は、会社の社長の理念や、考えていることをヒアリングし、そのキーワードをベースにロゴマークを作っていく作業を何回も繰り返します。会社の理念と、その会社が提供しているサービスに乖離があることは、多々あって、一貫性がないケースがあります。
それはデザインのみではなく、考え方そのものでもあります。デザイナーは、会社ロゴなどを手掛けると、どうしても行き着くところです。理念とデザインに一貫性が持てたら、企業としてより強くなると思ってます。

ーーデザインを作るとわかってしまうのは、多くの制作を担当したからですか?

増渕:そうですね、プロジェクトの数だけビジョンがあります。ユーザー視点のもの、事業視点のもの、様々な視点でデザインを行っていく機会がありました。その中で核となるものを見つけ、それから見た目のデザインを作る過程に入ります。複数の視点で核を見た時に、「あ、これはずれているな」と感じる時があります。前職で担当したとあるデザインでは、ユーザーの一瞬のニーズは満たせるけれど、継続的にそのユーザーがそのサービスを利用した場合、本当に幸せになれるか、非常に悩むことがありました。こういう長期的なユーザーのためにならないという本質的な問いに向き合いました。

例をあげるならば、車を買いたい、旅行に行きたいとします。それを、実現するためにお金が必要です。現在、貯金は少ないし手元のお金は残しておきたい。とは言え、自分のためや家族の楽しみを実現するために、お金が必要な時は誰しもあると思います。その時「お金を借りる」というサービスを利用する際に大事なのは、実現した後のことまでちゃんと一緒に考えられるかだと思います。一時の快楽のために借りるのではなく、返済まで無理なく計画を立てられるか?そういったデザインになりえてるか考え抜かなければ、ユーザーのためにならないわけです。長期的な視点に向けた「大事なこと」が、事業を行う核なのだと考えています。

ーーぼくらスタッフが、ビジョンを血肉とするには何が必要だと思いますか?

増渕:まず、自分たちが「はたらくヒト」と未来を拓けていない限りは、社会を変えることもできないです。「はたらくヒト」とは僕らのことも指してますし、社会のことも指しています。自分が今「はたらくヒトと、未来を拓けている」と「拓くために進んでいる」という実感を皆が持てることが、まず第1歩だと思っています。
あとは役職、役割の視座で考えれば良いと思います。その役割の人が担当し、今日、明日の「お客様と未来を拓いているか」をメンバーが意識したり、役割ごとに判断できれば良いと考えています。

デザイン戦略室は、2合目に入ったばかり

ーー2020年に立ち上げたデザイン組織のプランで今、ぼくらが置かれている場所は、登山で例えると、何合目ぐらいになったと感じていますか?

増渕:2合目ぐらいです。デザイン戦略室は、発足して2年間が経ちましたが、ユーザー体験を分析して、ものづくりする発想になったのが、つい2年前からです。我々デザイナーやプロダクト組織の中では、ユーザー体験を踏まえた「ものづくり」が定着しつつありますが、会社全体の動きとしてはもう一息という印象です。

例えば、小さな課題でいうと、ボタンの名称と期待する体験が一致しないことや、少しずつ機能を継ぎ足して、全体の情報設計が弱まった点や、使いづらさを感じてしまうなどが挙げられます。「お客様の声を聞いてそのまま作る」という部分最適を推し進めると、全体の体験からギャップを生じやすい状態になります。そういったところは変えていきたいと考えています。

ーー人は、自分の思ってることを、なかなか言葉にしたり、履歴書や、ポートフォリオという形でメタ化するのが難しいです。

増渕:そうです。プロフィールに書いてること以外のその人の良さを引き出して行く転職エージェントがいたり、人の人生にとって必要なコンサルティングだと思います。ここにイノベーションを起こす鍵があると考えています。

ーー増渕さんご自身にとっての課題はどのような点を感じてますか?

増渕:プロダクト側も中長期視点で、全体設計を一緒に考えられる人材の採用です。私と一緒にプロダクトの現場で力を発揮していただけるプレイングマネージャーが必要です。
また、デザイン戦略室の役割は、プロダクトやブランドに閉じていては機能しません。現場で顧客と向き合っているセールスや、カスタマーサクセスなどの部署と密接に連携することが必要です。他部門を意識して連携できるデザイナーを募集しています。

ーー具体的になりますが、Crowd Agent(クラウドエージェント)、Forkwell(フォークウェル)のデザイナーがよりユーザー価値を高め、事業に貢献するためにはどのような活動が必要でしょうか?

増渕:UXリサーチをしました!リサーチ結果を発表しました!では、ただの情報となってしまいます。得られた情報から、ユーザー体験を戦略に落とし込み、現場で機能して、解約率改善や顧客満足度につなげていくためには、現場と連携していくための仕組みも手掛けなければ、浸透しません。デザイナーには、伝達者としての活動が求められています。

ーーまだまだやらなければいけないことは、たくさんありますね。

増渕:そのとおりです!グルーヴス全体では、体験設計が2年生程度であり、まだ始まったばかりなんです。本質的な理解のためには、どのような説明があった方がいいのか、ちゃんと伝わったのか、定量・定性も合わせて分析する。作って終わりじゃなくて、その先もずっと見ていく継続した活動がぼくらの仕事なんだと思います。

ーー本日は、ありがとうございました!!

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